早期の胃がん
”早期胃がん”と呼ばれる初期の状態では、ほとんど自覚症状がありません。症状がないため、気が付かない間に病態が進行していきます。症状がなくても、人間ドックなどで定期的に胃カメラを受けることで、早期胃がんの状態で発見することが出来ます。
この段階であれば、ESDの適応になる場合が多いです。
胃がんの治療法としては、以前は外科手術が主流でしたが、現在では早期の胃がんの多くは、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)で治療されるようになっています。
外科手術では、お腹を切って、胃の一部あるいは全部を切除するため、術後に後遺症が出るケースがあります。一方、ESDではお腹を切らないため痛みは基本的にほとんどなく、胃を全部残すことが出来るため、後遺症も基本的に起こりません。患者様の元気度にもよりますが、90歳を超えるようなご高齢の患者様でも、ESDを受けていただくことができます。
”早期胃がん”と呼ばれる初期の状態では、ほとんど自覚症状がありません。症状がないため、気が付かない間に病態が進行していきます。症状がなくても、人間ドックなどで定期的に胃カメラを受けることで、早期胃がんの状態で発見することが出来ます。
この段階であれば、ESDの適応になる場合が多いです。
胃がんは病態が進行すると、大きくなり、潰瘍を形成するなどの変化を起こします。
それに伴い、胃がんが胃の出口をふさぎ食べたものが奥に流れなくなる、出血して貧血を起こす、がんが転移するなどの問題が起きます。
この状態になると、ESDの適応はなく、外科手術など他の治療法の検討が必要です。
胃がんのESDは、穿孔(胃の壁に穴があくこと)のリスク、治療時間が長いなどの問題があります。この問題を克服するため、当科はS-Oクリップという処置具を活用しています。当科で行った研究では、従来の方法に比べ、S-Oクリップを用いることで約40%の治療時間の短縮が得られました。穿孔のリスク低下も期待できるため、患者様にとってメリットがある方法です。
※関連論文
[1] Nagata M et al. Impact of Traction Direction in Traction-Assisted Gastric Endoscopic Submucosal Dissection (with Videos). Digestive Diseases and Sciences 2023;68:2531-2544.
[2] Nagata M et al. Comparing a conventional and a spring-and-loop with clip traction method of endoscopic submucosal dissection for superficial gastric neoplasms: a randomized controlled trial (with videos). Gastrointestinal Endoscopy 2021;93:1097-1109.
[3] Nagata M. Internal traction method using a spring-and-loop with clip (S-O clip) allows countertraction in gastric endoscopic submucosal dissection. Surgical Endoscopy 2020;34:3722-3733.
[4] Nagata M. Modified attachment method using an S-O clip for gastric endoscopic submucosal dissection. VideoGIE 2019;4:151-153.