安全、確実な内視鏡治療を追求

内視鏡治療を研究し、日々の診療に生かします

当科では内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)を安全、確実に行うための工夫として、以下の2つの方法を研究しています。
・トラクション(牽引)法
・浸水下でのESD(Underwater ESD)

トラクション(牽引)法

当科の研究では、胃腫瘍(胃がん、胃腺腫)の内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)において、この方法を用いることで、従来の方法よりも約40%の治療時間短縮が得られました(Gastrointestinal Endoscopy 2021年5月号掲載)。治療時間の短縮に加え、穿孔(せんこう:胃腸の壁に穴があくこと)のリスクを低下させる効果もあり、患者様への負担を軽減します。

浸水下でのESD
(Underwater ESD)

内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)は通常、ガスで広げた腸管内で行われています。当科は、ガスの代わりに液体(生理食塩水)を用いることで、視野が良くなる、浮力・水圧を利用して術野を展開しやすくなるなどの効果が得られることを報告してきました(Gastrointestinal Endoscopy 2018年5月号など)。大腸、十二指腸のESDでこの方法を用いています。

患者様に適したベストな治療法を

内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)は、内視鏡治療の中ではリスクが高い方法の一つですが、様々な工夫をすることで安全に実施することが出来ます。一つの方法に固執することなく、患者様にとってベストな治療法を提供出来るように心がけております。

十分なカウンセリングを行います

内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)は低侵襲な優れた治療法ですが、適応には限界があります。治療の前には、外来で適応となる治療法、治療に伴うリスクなどの説明を十分に行い、疑問を解消した上で治療を受けていただいております。